FX界には、いわゆる【サインツール】というものが存在します。
買いだとか売りだとかのサインがチャート上に現れ、設定していればアラートなどで知らせてくれるというアレです。
私をいっぱしのデイトレーダーに育ててくれた【MT4裁量トレード練習君プレミアム】を販売している【AtoZ Global Management】でもサインツールを販売しています。
それが、【The Trend】です。
この手の商品に興味を持つ人の関心は、
本当に勝てるのか?
って事ですよね。
じゃー確かめてみましょうか。
どうも。
トレードなんて、勝てれば何を使ってもいいと思っているヒロセです。
この記事では、ザ・トレンドのバックテストデータの公開と、うまく使う為の方法を解説しています。
勝率100%などという魔法のツールは存在しませんが、優位性の高いツールは存在します。
ただ、十分な検証を行わないと、ツールを信用してトレードなんてできません。
有効なツールだといった確信がない限り、それにお金を預けたりしませんよね。
ここでは、【The Trend】の2019年から2023年までの5年間の検証データを公開しています。
それを踏まえて、使える局面・使えない局面を、利益が出たチャートと損失が出たチャートにて解説を行っています。
ぜひ参考にして、あなたのトレードの役に立てていただきたいと思います。
目次
ザ・トレンドは使えるのか?
実は私は、勝てない時代にこの手のツールを使って、かなり大きな額の損失を出した事があります。
当時は、割と有名なFXユーチューバーの『サインツールなんてゴミ』なんて言葉を真に受けて、詐欺ツールだと思っていたものです。
ですが、よく考えてみると、次のように思いませんか?
サインツールと言えどもただの道具であり、
道具をゴミにするか宝にするかは使う人次第
であると。
要は、ペンとか包丁とかと同じなんですよね。
サインツールが使えないとか言っているのは、
『字が汚いのはペンのせい』
『うまく調理できないのは包丁が悪い』
なんて言ってるのと同様だって話です。
道具を使っていい結果が出なかったと言って道具のせいにするのは、あまりに未熟な行為なのではないでしょうか。
ですが実際の所、ペンも包丁も役に立ちます。
じゃ、
【The Trend】は本当に役に立つのか?
って事が肝心ですよね。
それを検証する方法がバックテストです。
バックテスト結果を見れば、ザ・トレンドに優位性があるのかないのか一目瞭然というワケです。
バックテストに使用する検証ソフトは、動作の軽さを重視して【トレードトレーナー】を使用しました。
テスト設定
テスト設定は次の通りです。
検証条件
通貨ペア:GBPJPY
検証期間:2019/1/1~2023/12/31、1ヵ月単位
初期口座残高:100万円
レバレッジ:25倍
取引ロット:1Lot
使用チャート時間軸:1時間足
スプレッド:変動(2pips~)
エントリー:サイン+雲抜け(順不同)
決済:エントリーと逆のシグナル発生
保有ポジション:1ポジションのみ
検証終了時に保有しているポジションは決済
証拠金が足りなくなった月はその時点で終了
※前回の検証ではサイン発生後に雲を抜けた場合エントリー無しでしたが、今回は出来るだけ取説に忠実に行うため有とします。
※取引ブローカーなどの違いにより、同じ条件のテストでも同じ結果になるとは限りません。
トレード方法は取説にある通りに、サイン&雲を考慮して行っています。
トレンドグラフは過去チャート上では動作しないので、バックテストでは使用していません。
取説では、【直近の高値】なども考慮しているようですが、再現性が低いのでここでは採用していません。
総合バックテスト結果
まずは、全期間の損益グラフとサマリーをご覧ください。
・損益合計:4,819,100円
・総利益合計:44,269,800円
・総損失合計:-39,450,700円
・プロフィットファクタ:1.12
・総取引回数:2107回
・平均取引回数(月当たり):35.12回
・平均勝率:37.45%
次に、表計算ソフトで集計した月別収支表をご覧ください。
100万円を5年間1Lot運用した結果、トータルの利益は4,819,100円となりました。
わかりやすいように、年ごとの内訳を書いておきます。
・2019年:609,300円
・2020年:839,500円
・2021年:1,690,000円
・2022年:-1,639,600円
・2023年:3,319,900円
これが、ザ・トレンドでサイン通りにトレードした結果です。
優位性があるかないかで言えば、明らかにあると言える結果となりました。
関連
前回テストした、2023/2~7までのデータとはテスト方法が違うとはいえ、7月以外はほぼ似通ったデータになりましたが、7月だけは大きく違った結果となりました。
現状、練習君でザ・トレンドの検証ができないので確かめようがありません。
年度別結果
次に、各年度別のトレードグラフとサマリーです。
2019年
・各トレード個別
・各トレード累積
・損益合計:609,300円
・総利益合計:7,808,500円
・総損失合計:-7,199,200円
・プロフィットファクタ:1.08
・総取引回数:425回
・平均取引回数(月当たり):35.42回
・平均勝率:36.85%
2020年
・各トレード個別
・各トレード累積
・損益合計:839,500円
・総利益合計:9,032,000円
・総損失合計:-8,192,500円
・プロフィットファクタ:1.10
・総取引回数:441回
・平均取引回数(月当たり)36.75回
・平均勝率:33.48%
2021年
・各トレード個別
・各トレード累積
・損益合計:1,690,000円
・総利益合計:7,815,900円
・総損失合計:-6,125,900円
・プロフィットファクタ:1.28
・総取引回数:465回
・平均取引回数(月当たり)38.75回
・平均勝率:42.2%
2022年
・各トレード個別
・各トレード累積
・損益合計:-1,639.600円
・総利益合計:9,302,300円
・総損失合計:-10,941,900円
・プロフィットファクタ:0.85
・総取引回数:381回
・平均取引回数(月当たり)31.75回
・平均勝率:34.7%
2023年
・各トレード個別
・各トレード累積
・損益合計:3,319,900円
・総利益合計:10,311,100円
・総損失合計:-6,991,200円
・プロフィットファクタ:1.47
・総取引回数:395回
・平均取引回数(月当たり)32.92回
・平均勝率:40.05%
以上のように、傾向としては【低勝率・高リスクリワード】型と言えます。
勝率が低いので、トレーダーのストレスが高そうですが、ハマった時には大きく伸びるタイプです。
テスト通りの運用が出来るか?
2019年から2023年のバックテストの結果は以上です。
ただサインに従うだけでも、長期的に見ると資金が増えていく事がわかります。
1Lot運用を5年続けたら、481万円ですよ!ウハウハじゃないですか!?
ですが、ですがですよ。
ここで優位性が確認できたからといって、サイン通りにトレード出来るのかどうかといえば、はなはだ疑問です。
仮に、全てのサインが出た時間にトレード可能だとしても、それを実行するのは躊躇するハズです。
なぜならば、連敗が続いた局面で、ツールが信じられなくなってしまうからです。
もう一度、結果表を貼ってみます。
明らかに、負けている月が連続している傾向が見て取れます。
この間は、【ザ・トレンドの使用には適さない相場状況】になっていると考えられます。
長い時は、5ヵ月にも渡って負け続けています。
このドローダウンを食らってなお、ツールを信じて使い続けられる人はいないんじゃないでしょうか?
なぜならば、ユーザーが想定する【勝てる】とは違うからです。
利益アップの方法
ザ・トレンドを使ってサイン通りにトレードすれば、トータルでは資金が増えていく事がわかりました。
同時に、【ザ・トレンドの使用には適さない相場状況】では、何か月も負け続ける事も判明しました。
ですが、これはあくまでも【サイン通りにトレード】した結果です。
つまりは、目をつぶってトレードしているも同然であり、手動で行う自動売買みたいなものです。
冒頭でも言った通り、ツールを使うのはユーザーです。
ユーザーがうまく使えば、結果は改善されるハズです。
では、どうすればよりうまくザ・トレンドを使えるのか?
もう一度損益グラフとサマリーを見てみましょう。
・損益合計:4,819,100円
・総利益合計:44,269,800円
・総損失合計:-39,450,700円
・プロフィットファクタ:1.12
・総取引回数:2107回
・平均取引回数(月当たり):35.12回
・平均勝率:37.45%
総利益合計と総損失合計に着目してください。
・総利益合計:44,269,800円
・総損失合計:-39,450,700円
勝ち合計が4千4百万円、負け合計が3千9百万円です。
勝ちを増やす事はできませんが、負けを減らす事は出来そうですよね。
そもそも、ただの1通貨ペアで、月のトレード回数が35回とかは多すぎます。
いかにデイトレと言えども、トレードチャンスはそれほど多くはありません。
つまり、ザ・トレンドをうまく使いこなすためには、
いかにドローダウン局面でムダなトレードをしないか
という点が重要です。
ドローダウン局面を察知し、負けトレードを減らす事ができれば、損益合計は増やす事が可能です。
つまり、プロフィットファクターを上げるという考え方です。
ドローダウン局面
では、どのような局面で負けてしまうのか、連敗時のチャートのスクショを貼ってみます。
以上の画像が連敗時のチャートです。
共通する特徴を挙げてみます。
・雲を挟んでレートが上下している
・1本1本のローソク足が長く見える
・ヒゲが長い
これが何を表すのかというと、方向感が無く、ボラティリティが低いって事です。
対策としては、
・雲の色が交互に変わり始めたら、トレードを見送る
・他のエントリー根拠がない時は、エントリーしない
といった方法が効果的です。
勝てるトレードパターン
ザ・トレンド単体でもトータルでは勝てるワケですから、エントリー根拠の1つとして使えます。
従って、トレードの補助として使用する事で、プロフィットファクターを上げる事が可能です。
その為には、ザ・トレンドにプラスして、何かしらのエントリー根拠を見つける必要があります。
私のお勧めのエントリー根拠は【トライアングル抜け】です。
トライアングルを抜けた前後にザ・トレンドのサインと雲抜けが出現する事で、少なくとも3つのエントリー根拠が揃う事になり、トレード成功の確率を上げる事ができます。
トライアングルは、最初はわかりにくいかもしれませんが、何度もチャートにラインを引いているうちに、パッと見てわかるようになります。
つまり慣れです。
バックテスト中に大きく取れた局面のスクショを貼りますので、よく見て参考にしてください。
後から撮ったスクショも含まれるので、エントリーしていない画像もありますがご了承ください。
黄色の矢印の前に赤い上矢印がありますが、【買いシグナル】ではなく、売りエントリーを行った印です。
テストを行ったトレードトレーナーの仕様でこうなっています。
以上のように、サイン+雲抜け+トライアングル抜けが揃った局面でエントリーを行う事により、その先伸びる可能性が上がります。
トレードを行う場合は、こういった局面に絞ってエントリーを行ってみて下さい。
自信を持ってエントリーする方法
『トレードを行う場合は、こういった局面に絞ってエントリーを行ってみて下さい』
なんてシレっと言ってみましたが、
『伸びた後ならわかるけど、伸びる前にはわからない』
といった人も多いでしょう。
そのような人は、【練習】や【検証】といった行動が効果的です。
包丁もペンもうまく使う為には、使う人の技能が必要ですよね。
ザ・トレンドをうまく使う為には、使う人のトレードスキルを上げればいいワケです。
この記事でのバックテストに使用した【トレードトレーナー】に【The Trend】を適用し、
・伸びた局面を見つけたら、何度も再生し観察する
・伸びる前にチャートを巻き戻し、ケーススタディを行う
このような行動を繰り返す事で、次第にエントリー局面がわかるようになってきます。
この際、エントリー足と上位足の2面のチャートを表示しておき、上位足の様子も観察するようにするとなお効果的です。
伸びた局面のスクショです。
左に日足、右に1時間足を表示しています。
このようにわかりやすく伸びた局面が現れたら、上位足と下位足の前後をよく観察します。
チャートを巻き戻し、売りサインが出現した時点での時間のチャートを見てみます。
上位足でも停滞していたネックラインを下抜け、方向性は【下】になっているのがわかります。
エントリー足もトライアングルになっていかにも【抜けたら走りそう】な形になっています。
ここで雲を下抜けして売りサインが出現しています。
あとは、トライアングル下抜けを待って売りを仕掛けるだけです。
このような観察を繰り返し何度も行う事で、チャートを数秒間見るだけで【ピンとくる】ようになってきます。
ザ・トレンドにプラスして、トレーダーの裁量判断力を伸ばす事で、成績は見違えるほどアップするハズです。
オートクリッカーや連打ツールを利用して、チャートを自動で進められるようにしておけば、トレードトレーナーでも私の推奨するトレード練習方法である【マルチタイムチャート早回し観察】が可能になります。
うまく活用してみてください。
Trade Trainer は、従来自動でチャートを進めることができなかったのですが、
今回ご紹介するツールを使用することで、この問題が解決されました!🚀✨📈■Lunatic Mouse でクリック連打https://t.co/uSUV87CKCW
■チャートを自動で進めることは出来ますか?https://t.co/Bfx2KrPmZz
— Trade Trainer公式 (トレトレ) (@Trade__Trainer) June 27, 2023
まとめ
お疲れ様でした。
この記事では、【The Trend】のバックテストデータの公開と、うまく使う為の方法を解説しました。
テストの結果、ザ・トレンドには明らかに優位性がある事がわかりました。
ですが、ただサインに従っているだけでは、自動売買と変わらない程度の成績しか出ないワケです。
ザ・トレンドをうまく使う為には、ドローダウン局面ではトレードを避け、伸びそうなパターンの時だけトレードを行う事が重要です。
つまり、ザ・トレンドに盲目的に頼るのではなく、裁量トレードのエントリー根拠の1つとして使うという考え方です。
ザ・トレンドには確かに優位性が確認できましたが、使えばどんどんお金が増えていく魔法のツールではありません。
使う人が、使う局面を選び、自分のトレードにインストールする事ではじめて真価を発揮します。
ザ・トレンドには、サイン発生時にアラートで知らせてくれる機能が付いています。
この機能を利用し、アラートがなった時だけチャートを確認するという利用方法をとれば、トレードに時間を取られる事もないでしょう。
また、ついついエントリーしたくなってしまうポジポジ病対策にも有効だと思われます。
繰り返しますが、ツールの利用価値は、ツールを使う人にかかっています。
うまく使うためには、反復練習しかありません。
ぜひ、うまく使ってあなたのトレードの助けとしていただきたいと思います。
あなたの成功を心から願っています。
ヒロセ